結婚式やお葬式といった冠婚葬祭は、人生の節目ともいえる非常に重要な儀式です。大勢の人が集まるので、マナーなども気になります。そのためきちんとした服装を選びたいものですが、何を身に付ければいいかよく分からないということも多いのではないでしょうか。特に初めて結婚式に招待されたとか、突然の訃報を聞いて通夜やお葬式に駆けつけなければいけないこともあります。喪服や礼服の違いについてやそれぞれのシーンに合わせた着こなし術について紹介します。
喪服と礼服の違いは？
喪服も礼服も同じ黒色なので、一見すると同じように見えるという人も多いかもしれません。しかし、実は両者には違いがあり、区別することができます。
まず、礼服は結婚式や葬式など冠婚葬祭全般で身に付ける正装のことをいいます。フォーマルウェアと呼ばれることもあり、正礼服や略礼服などいくつか種類があります。結婚式や入学式などお祝いの場に身に付けることもありますし、お通夜やお葬式などお悔やみの席に着用することもあります。また洋装と和装があり、洋装にはモーニングコート・燕尾服・タキシード・ブラックスーツ等が挙げられます。和服には紋付きの羽織袴に黒無地着物、黒留袖等があり、格式の高い服装といえます。
それに対して喪服は、冠婚葬祭の中でもお葬式や法事など弔事に着用するものです。故人の近親者などが喪に服するために着用します。悲しい気持ちを表すために着用するのが喪服で、礼服の中の一つに該当するものです。
ブラックスーツはスタンダードな礼服
結婚式に出席したり、お通夜やお葬式に参列する際には、ブラックスーツを着用するのが一般的です。最もスタンダードなもので、格式としては略礼服になります。以前はお葬式の際などには喪主はもっと格式の高い礼服を着用することもありましたが、近年は喪主や遺族もブラックスーツを選ぶことが増えています。礼服には昼に身に付けるものと夜に身に付けるものと分かれていることもありますが、ブラックスーツは昼でも夜でもタイミングを問わず着ることができます。
女性も昔は遺族だと黒紋付の着物を着ることが多かったのですが、洋装の略喪服を選ぶ人も増えています。モーニングコートは昼の正礼服で慶弔どちらにも着用することができ、最も格式が高い服装になります。燕尾服は夜に着用するものとされており、格式のある夜の儀式や式典で着用する服装になります。タキシードは準礼服となっており、一般的な結婚式で着ることも多くあります。
ビジネススーツと同じ物でもいい？
ビジネスシーンで身に付けるスーツと礼服は、同じ黒い色をしていても微妙な違いがあります。礼服の方は漆黒と呼ばれる黒色なので、ビジネススーツの黒色とは色の濃さが違います。結婚式やお葬式などの場に自分だけビジネススーツを着ていると、ちょっと目立ってしまうかもしれません。また礼服では、生地の黒色が濃く深い漆黒であるほど、格式が高いとされています。高級なもの程何度も染め直されているので、深い黒色を実現することができるのです。
ビジネススーツにはポリエステル等の素材を使用していることが多いので、光沢や艶のある生地が使われています。ポリエステルはストレッチ性に優れている素材なので、動きやすいことからビジネススーツに向いているためです。光沢感があると華美な印象になってしまうので、お葬式などお悔やみの場には相応しくないでしょう。ただし、結婚式向けのブラックスーツの場合、わざと光沢を出しているものもあります。
ワイシャツやネクタイはどうする？
結婚式にブラックスーツを着用する際には、白無地でレギュラーカラーのワイシャツを選ぶのが無難です。襟をボタンで留めているボタンダウンはカジュアルなものなので、結婚式等フォーマルな場には相応しくありません。また、白無地でなくても淡い色のワイシャツであれば大丈夫ですが、あまり濃い色のシャツは控えるようにしましょう。ネクタイの色は白やシルバー等が一般的ですが、ストライプやドット柄等も適しています。光沢のあるネクタイは華やかな雰囲気になるので、結婚式に身に付けるのにはぴったりです。
お葬式や法事の際にブラックスーツを着用する場合にも、ワイシャツは白無地でレギュラーカラーが一般的です。光沢のある素材やシワ加工が施されている生地もカジュアルな印象を与えるので、お葬式や法事には向いていません。ネクタイは黒色で、ストライプ柄や織柄があるものは避けることが大切です。それから靴下も黒色を身に付ける必要があります。
まとめ
礼服は冠婚葬祭に身に付ける正装で、その中の1つに弔事に身に付ける喪服があります。ブラックスーツは最もスタンダードな礼服で、結婚式などお祝いの場にもお葬式や法事といった弔事にも身に付けられます。ビジネススーツとは同じ黒色ですが色の濃さに違いがあり、礼服の場合には漆黒と呼ばれる濃い黒色になっています。結婚式に出席する際には、白無地のレギュラーカラーのシャツに白やシルバー系のネクタイを合わせるのがおすすめです。