結婚式というと、日本では教会と仏前・神前式の計3種類で執りおこなうのが一般的となりました。明治から大正時代までは、仏前式を実施するのが日本古来からの慣習で、昨今では若い世代でもこの方式をとる方が増加傾向にあります。ここでは仏前式の概要から仏教における結婚の意味など、詳しく解説していくことにしましょう。実際に仏前式をなさった方の口コミもご紹介するので、これから結婚式を予定なされている方にとって、参考にしていただけると幸いです。
仏教における結婚観とは
結婚とは、今まで他人であった男女が同じ人生を歩んでいき、幸せと辛さを共有する存在となることを意味します。キリスト教では結婚式は祝福を神から受けるものと考えられていますが、古代仏教でも、仏様に対して誓いを立てて、二人の行く末を見守ってもらうという意味合いがあるものです。日本では、真言宗・浄土宗・日蓮宗などさまざまな宗派があり、それぞれの本尊に誓いを立てるというわけになります。
夫婦はこの世界でお互いが協力して、修行に励むことを諭されています。仏教の開祖である釈迦も生前、4名の妻を持っていました。彼女たちと80年もの月日を掛けてこの世に布教活動をおこない、修行に励まれたわけです。
仏教では極楽浄土はこの世にはなく、命を終えた時に向かえる天にあると言われています。結婚とはすなわち、極楽にむかうための命と命の洗濯であると見られています。この教えを理解できるのが、仏前式になっているわけです。
仏前式の具体的な方法
結婚式というと、大半が1日で終了するものです。その後に披露宴へと向かうことになりますが、仏前式の場合は3日間連続で執り行われます。ここではその3日間の進行を見ていきましょう。
まず1日目は新郎側の自宅や菩提寺で実施をするのが基本です。この時、必ず先祖代々の名前が記された位牌を携えないといけません。各宗派のお経を僧侶に唱えてもらい、参列者も一緒に先祖に対して良き日を迎えられたことに感謝を述べます。
2日目は新婦側の先祖に感謝をするため、場所を移して実施をするわけです。
3日目は新たに住む土地の菩提寺で挙式をおこない、必ず高砂を仲人が唱えるのが習わしになっています。
計3つの場所で結婚式をするため、連続で仏前式がなされることになると覚えておきましょう。参列者に至っては、神前・教会とはことなり身内のみでするのも仏前式の特徴です。これは先祖が関わっているからであり、それぞれの仏に敬意を表する意味もあります。
仏前式で用意をしなくてはいけないもの
実際に仏前式を実施する場合は、祭壇に決まった供え物を並べないといけません。それは、もち米・果物・鶏肉・野菜・水の5つです。中国仏教の五行を意味しており、仏様への感謝を示した供え物ととらえられます。もち米は五穀豊穣の象徴で、大きな丼に山盛りにしましょう。この時、仏様が召し上がれるように真ん中のお箸を立てるのが決まりです。果物は極楽浄土に実ってるものとされており、リンゴ・ミカンが基本になります。
鶏肉は新郎新婦がこれからも食べるのに苦労をすることがなく、子供を授かれる体力をつけるようにと意味するものです。一般的には茹でたものを一匹そのままに祭壇に載せておきます。水は水道水ではなく、井戸か川で汲んだ自然のものでないといけません。コップではなく、水差しに入れておきますが、自宅に水差しがない時は仏具店で買い求めるといいです。1個1000円程度で販売されており、普段はお仏壇に置いておきます。
仏前式は永遠の思い出になる
実際に仏前式をなさった方々の感想を聞くと、「永遠の思い出になった」「人生観を見つめ直した」と答えられる方が大勢います。また感動して涙を流した方までいますが、その理由は先祖と親族を身近に感じられるからでしょう。仏前式では必ず、両家の菩提寺とお仏壇の前で執り行われます。今までの人生は長い歴史のなかで家族から得たものだと実感し、これから他人であったもの同士が新しい家族となることを体感できるわけです。参列した方たちにとって、大変大きな節目になることもわかるでしょう。
お経をあげる僧侶はこの席で、説法もおこないます。仏様の偉大さから、これからの人生で夫婦が力を合わせて困難に立ち向かうことを分かりやすくいわれるので、自然と人生観を見つめ直されるわけです。この感動を人生の門出で体験できるため、新郎新婦だけでく列席者も感極まって涙をながされる方が大勢います。今の時代だからこそ、大切な教えです。
まとめ
結婚をすることは、新郎新婦だけでなくその二人を取り巻く親族にも大きな影響を及ぼします。日本で古くから実施されてきた仏前式では、先祖にまで遡って儀式を実施するものです。
他人同士の存在がひとつの家族となり、新しい人生を紡いでいく素晴らしさを体感できる結婚式です。これから新しい血脈が生まれることを悟り、その行く末を仏様に見守ってもらうことができるのが、仏前結婚式で今では若い方も積極的に執り行っています。